日々のこと

I'm becoming this all I want to do.

散文

再会と再開

もう何年も会ってない人と、偶然街で再会をした。そういったことは人生においてそうそうあることではないが、全くないことでもない。久しぶり、偶然だね、元気だった、といったお決まりの会話がなされた後、お互いに用事を抱えていたので、今度ゆっくり話を…

二度寝と母

二度寝。 二度寝は至福の時と言われているが、眠りが浅いためか、夢を見ることが多い。ほんの数十分に凝縮された希望。あるいは絶望。 祖父の夢を見た。実際の祖父は一昨年に亡くなっている。病院。病院だけど、部屋が広かった。公民館のような。そこで、も…

写真

以前書いた文章が発掘されたので、少し体裁を整えた。

スミノエ

朝。 あの人のいなくなった後のベッドは微かに墨の匂いがする。それに気がついてから、あの人は一冊の書物なのだ、と感じることができるようになった。私は夜の間だけ、あの人を開くことができる。あの人の内側を、覗くことができる。しかし、それは朝になる…

百貨店

ものすごく疲れている時は、物がいっぱいある空間に行くと落ち着く。それを夫に伝えると、会社帰りに私の買い物に無理やり付き合わされている彼は、少しうんざりしたように、そうかな、俺は物がいっぱいあると、それだけ情報量が多いってことだから頭が混乱…

YUME

好ましくない夢を見た。倫理的に。夢に倫理を持ち込むと、それは現実になる。心の中で。 高校のクラスで、英語の担当が黒人のレイシストだった。どこか奇妙な思いがしたが、それは私自身の中の前提となる知識に偏見があるのだろう。彼はユダヤ人の少年にロー…

新宿を歩いてしまって

新宿を歩いてしまって、ビルの二階に金貸し業者が、三階に不動産屋が入っていることに気がつく。三階で不動産を買うためのお金を、二階で借りることが出来るのだろう。よく出来ている。幽霊の住む物件を紹介してくれる不動産屋もいるらしいけど、会ったこと…

例えば運命というものがあるとして

最近変な夢を見る。夢に変も変じゃないもないというか、そもそも夢というものは変なものなのだが、とにかく変な夢を見る。ヌメッとして気持ち悪く、それでいてくっきりとした輪郭を持った夢。眠りが浅いのかも知れない。朝の五時頃不意に起きてしまい(この…

死にたくなる時

あっ、死んでしまいたいと思う時がある。誰にだってある。私にだってある。猫にだってあるかもしれない。 私にとってそれは、財布にお金が入っていなくて、銀行でお金を下ろさなきゃな、と思った時だ。 それは、料理を作らなきゃでも、ご飯を食べなきゃでも…

姉の残した音楽

著作権的なあれでフィクションとノンフィクションの間。 姉が大量の音楽データを(1TBほど)を残してくれた。ぶっ通しで聞いたとしても、聞き終わるのに2年くらいかかる量だ。「もういらないから」と言っていたが、彼女がその後行った世界は音楽を聞くことが…

好きな人の最後の言葉

好きな人とはなるべくずっと一緒にいたいと、片時も離れたくないと思って、それはどうしてだろうか。四六時中一緒にいる必要なんてないし、四六時中一緒にいたら却って疲れてしまうのではないか、そんな声も聞こえてくる。ずっと一緒にいたら飽きてしまうか…

ネクタイ

祖父が大量のネクタイを遺していったため、生まれてこの方、社会人になった後でも自分のお金でネクタイを購入したことがない。 ネクタイ以外の遺産は、私の両親と叔父・叔母が醜く争った挙句に、細かく散り散りになってしまった。 当たり前の話かもしれない…

フェルミ推定

痩せろ痩せろという声が煩い。いや、誰かが言ってくるというわけではないのだが。ただ頭の中でいつもこの声が響き渡っている。雑誌とかテレビとか、目に見えないコンセンサスみたいなものだろうか。誰が決めたのだ、適正体重とやらを。多分会ったこともない…