2019-04-28 防空壕 詩 夢の中ですら分かり合えないっていうのは 僕にとっては悲劇だ 空襲警報 防空壕へ避難する人々 泣き叫ぶ赤子 それを懸命に宥める母親 首を絞めた時の手の感触を 覚えているか 徐々に冷えていく体温 体から力は抜けていく だらんと手が地面へと伸びている 自らの手で 生命を消す感触を覚えているか 自らの手の中で 死んでゆくものの体温を 表情を 手にはいつまでも死の感触が 残り続けて 消えることがないんだ 夢から覚めたあとも 壕の中叫ぶ赤子を絞め殺す 聞こえぬように 聞こえぬように