日々のこと

I'm becoming this all I want to do.

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ハンガー

壊れてしまったハンガーを捨てられずに 服も掛けずに部屋で吊るしているのはなぜだろうか? 実はボロボロになった天使の羽が 引っかかっている 無意味だ 無意味だ 無意味だ 無意味だ 腰が痛い 羽もないのに飛び立とうとした罪だ ある日の秘密基地には 壊れて…

斜視

目を開けるのがだるい 最近はなかったことだ 昔はよくあったんだけどね 目を閉じている方が集中して思考ができるから好きだった 多分、今も 眠りは一瞬のことで その直前の記憶がない 起きる寸前の私は 腕時計をしていないから かなり危うい 右目が悪くて 視…

雪豹

雪豹の子供が 母を呼ぶ鳴き声だけは 残しておいてほしかった 春 何もかもが奪われてしまった 増えすぎた色 多様性は 最後の審判を遅らせてしまう こと だま 「一番強い言葉は?」 「 」 無言 黙ることだけしかできないよ でも できることならば もう一度だけ…

身体

身体がいくつかあったら その一つは哲学を学び その一つは数学を学び その一つは小説を書き その一つは古典文学を読み その一つは短歌を詠むだろう 身体がいくつあったら その一つはつまらない仕事で身銭を稼ぎ その一つは栄養のためにご飯を食べ その一つは…

空咳

自分の空咳で起きてしまう カーテンの開け放たれた窓 カーテンは閉めていたはずだ うろ覚え 窓から見えるのは、少しだけ目を開けた夜空 目の前をひらりと飛び去る空蝶 昔送った空メール あなたの咳がうるさくて眠れないと 妻が言う 昔喘息の彼女に僕が言った…

カーテン

怖い夢を見ていた気がする 不意に夜中に目が覚め 窓の方を見てみれば カーテンが開いていて そこから月が見える 寝る前に閉めたはずだが 起きて閉めなくては と半覚醒の頭で考えるが 眠気には勝てずに そのまま再度眠りについた 最後に見えたのは 宇宙の一番…

二十二時

二十二時の私は どうしてこんなにも 暗く 眠いのだろう 二十四時の私は きっと夢の世界の住人で 朝七時の私は 明るい世界を謳歌しているのに違いないのに 二十二時の私は あんまりにも眠いものだから 二十四時の私と 七時の私に 替わってほしいとお願いをし…

意味

春の 生き物たちが起き出しているその横を 遠慮がちに走り 木と木の間をくぐり抜ければ なんだか全てのことには 意味があるような気がしてくる 花の咲くことや 散ること 枝の生え方や 葉脈 切り株の同心円 走った後の荒い呼吸 誰かの体温 繋がれない手 年々…

雨の降り出す気配は何となく分かる いつ降り終わるかは予想できない ただ いつかはやむという事実だけが 胸の中の森にはあって そんなぼんやりとした感覚の中 雨が葉を濡らす音を聞きつつ 黒く染まっていく地面を眺めている 壁 いつかの恋の始まりは 予測で…

震えと痺れ

震えと痺れは何が違うのだろう 父親と会う時、恐ろしさのあまり体が震える 母親と会う時、緊張のあまり頭が痺れる (いいぞ) (その調子だ) (今だ) (いけ) タイミングが合わない 高速バスのターミナルには いくつもの死が埋められている その上を 毎日…

性欲

走っている最中に 下ばかり見ていると気が滅入るから 上の方を見るようにする 空や 鳥や 雲の類い そして萌木の 凝縮された生命力に 包まれたいとだけ思う それでも とうの昔に失われたはずの性欲が なぜか起き上がってくる それには目をそらして 所々に見え…

呼吸

朝 新緑の公園を一人歩く 思い切りする深呼吸 切り裂かれる陽の光 まだ誰の肺も通っていない空気を 私が一番乗りをする 美味しい つまり、二酸化炭素が少ない 独り占めをしている 空間、時間、私自身 ”二酸化炭素は不要なんだ” そう母に告げた時 「植物にと…

始まり

ここがこの記事の最初の行だ 最初に書かれた言葉は(日付とタイトルは別にして)↑である だんだんと言葉は蓄積されてゆく 古いものが上に溜まってゆき、新しいものが下へ積もってゆく 新しいものが下に増えてゆくが これも『蓄積』と呼べるだろうか 古い言葉…