日々のこと

I'm becoming this all I want to do.

YUME

 好ましくない夢を見た。倫理的に。夢に倫理を持ち込むと、それは現実になる。心の中で。
 高校のクラスで、英語の担当が黒人のレイシストだった。どこか奇妙な思いがしたが、それは私自身の中の前提となる知識に偏見があるのだろう。彼はユダヤ人の少年にローキックを食らわせていた。本気ではなかったと思う。本気だったらもっと痛がっていたはずだ。
 ただ、これは教育ではない、体罰だ、暴力だ、と思ったので、私は教室から職員室に内線で電話をした。本当は直接警察に電話をしたかったが、番号が分からなかった。しかし、電話に出たのは超保守的な先生だった。彼女にこれこれこういうことが起きて、警察を呼んでほしいと伝えた。しかい、彼女は私の言っていることを信じてくれず(先生が生徒に暴力を振るうなんてありえないと思っていたか、そんなことは大して問題ではないと考えていたのかもしれない)、電話を切ると、私の教室へとやってきた。でも、その先生が教室に来たときには、すでに暴力は終わっていた。黒人の先生とユダヤ人の少年は素知らぬ顔で教室に立っていた。その先生は「どこで暴力が行われているのですか?」と私に尋ねた。私は何も言い返せなかった。「あなたの世界で」と言ってしまえば良かった。
 
 本当はすごく怖い夢だったのだけれど(黒人の先生はボブ・サップのような体型だったから)、あまり怖いと感じなかった。どこかでこんなものは夢に過ぎないと思っていただろう。そういう、冷めた視線を夢の中に持つことがある。恋愛ではどうだろうか。
 
 優しい話と言うと、万物には人格があるようだ。「優しい気持ちを引き起こす話」のことを「優しい話」と呼ぶ。話自体が優しいわけではない。